ONLINE ZOU-NO-HANA no ARCHIVE EXHIBITION
鈴木康広 展 『未知への鼻』
開催期間: | 2020年6月1日(月)〜 6月21日(日) |
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アーティスト: | 鈴木康広 |
会場: | オンライン |
主催: | 象の鼻テラス |
【ZOU-NO-HANA no ARCHIVE】
象の鼻テラスが今までに行ったイベント記録や、制作した映像コンテンツなどアーカイブ情報を ZOU-NO-HANA no ARCHIVE としてご紹介します。
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象の鼻テラスは、オープン以来アーティストの創造性を生かした都市観光コンテンツの開発に取り組んできました。2012年、象の鼻テラスの存在感を高めるためのサインワークの発表や、象の鼻パークでの遊び方を提案するためアートプログラム「ENJOY ZOU-NO-HANA -象の鼻の遊び方-展/エンジョイ!ゾウノハナ」を展開。そのメイン作品として制作され、ひときわ遠くからも象の鼻テラスを知らしめたのが、アーティスト鈴木康広による《未知への鼻》です。
その後、象の鼻テラスのアニバーサリーイベントなどで何度もお目見えし、たくさんの人の目を楽しませました。
今回のオンライン展覧会では、象の鼻テラスのアイコンとして親しまれる作品《未知への鼻》のコンセプトムービーや制作メモをご紹介します。
《未知への鼻》鈴木康広 (2012)
"Nose of Curiosity" Yasuhiro Suzuki (2012)
■《未知への鼻》コンセプトムービー
制作:鈴木康広
制作:鈴木康広
開催日時:2012年4月27日(金)〜 5月13日(日)
会場:象の鼻テラス、象の鼻パーク
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10年目の挑戦・・・
象の鼻テラス開館10周年記念展「FUTURESCAPE PROJECT」で登場させたときには、
ついに"鼻"がリンゴを掴む瞬間を生み出しました。
(Photo: Hajime Kato)
(Photo: Hajime Kato)
■《未知への鼻》創作メモ
文:鈴木康広
「象の鼻テラスは、
世界を拡げるために鼻を伸ばした」
日本大通り駅から象の鼻テラスに初めて向かったとき、歩道橋が見えた辺り
で一瞬不安になった。それはテラスでのミーティングが始まるぎりぎりの時
刻、目的地の直前で場所がわからないという些細な出来事ではあった。そん
なふとした瞬間の微かな心の揺らぎが生まれる場所こそパブリックアートを
求めている。きっとそこは非日常を垣間見るのにふさわしい場所。僕はその
日のミーティングの中で、テラスの「サイン」となるアートワークを求めら
れたのだった。
“象の鼻はなぜ長いのか?” 忘れかけていた小さな疑問を再生して考えること。
それが僕のアートワークの部分であり全体だ。象の鼻が長いのは、巨大化し
た体を維持するためにエネルギー摂取が効率的な個体が有利だったから。進
化論ではそう説明される。科学の視点によらなければ、人の目には「象は高
い所のりんごを取ろうと努力した」とか、「離れた場所の水を飲みたかった」
など、個体の願望や努力が形になったように見える。それが“イリュージョン”
だとしても、そのように見えることにむしろ人間らしさを感じたりする。人
は個体として生きる存在なのか。あるいは、個体のライフタイムを超えて未
来を開いていく存在なのだろうか…。
鼻の先には肥大したりんごが浮かんだ。自重との兼ね合いによって、ヘリウ
ムガスで浮かんだ最小のサイズ。物理的な限界から奇しくも生まれたアンバ
ランスによって、空に伸びる鼻を一層際立たせ、港の風景を一変させた。
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象の鼻ジャーナル/ZOU-NO-HANA JOURNAとは・・・
2012年から2014年まで季刊発行した、アートフリーペーパー。アーティスト等によるコラムやエッセイ、アートワークや写真などを「横浜アートツーリズム」として編集し発行されました。
2012年から2014年まで季刊発行した、アートフリーペーパー。アーティスト等によるコラムやエッセイ、アートワークや写真などを「横浜アートツーリズム」として編集し発行されました。
■プロフィール / PROFILE
(photo courtesy: The Japan Foundation)
(photo courtesy: The Japan Foundation)
鈴木康広 / Yasuhiro Suzuki
1979年静岡県生まれ。既にあるものや見慣れた現象に新鮮な切り口を与える作品によって、ものの見方や世界のとらえ方を問いかける活動を続けている。代表作に《まばたきの葉》、《ファスナーの船》、《空気の人》など。2014年に水戸芸術館、2017年、箱根 彫刻の森美術館にて個展を開催。2014毎日デザイン賞受賞。平成29年度文化庁文化交流使。武蔵野美術大学准教授、東京大学先端科学技術研究センター客員研究員。